危急時遺言の確認手続の具体的な流れや判断構造

1 はじめに

危急時遺言を実際に取り扱ったことのある専門家はほとんどいないと思います。

私はこれまで一度だけ危急時遺言の手続に関わったことがありますので、私が実際に取り扱った危急時遺言の確認手続の具体的な裁判所における流れや要する期間について、今回は完全に専門家向けの投稿したいと思います。

2 遺言確認申立後における裁判所における具体的手続の流れて

危急時遺言が作成されたあとには、速やかに「遺言の確認」を管轄の裁判所に申し立てる必要があります。

確認の申立てがなされた後には、まずは担当の家庭裁判所調査官が決定することになります。

担当の家裁調査官が決定した後には、調査官から立会証人3名に対する面談調査を実施に関するお知らせ・照会が立会証人宛に送付されてることになります。立会証にんい照会が送られてくる時期としては、事案によるとは思われますが、私が関わった事案では申立てから1か月後くらいでした。

なお、危急時遺言の要件としては、3名以上の立会証人が必要となされておりますが、裁判所の運用としては、原則として全ての立会証人に対する面談調査を実施することにされているようです。そのため、危急時遺言を立会証人にお願いするにあたっては、家庭裁判所の確認手続において家裁調査官による面談調査にも協力してもらうことになることも事前に伝えておいた方がよろしいかと思います。

家裁調査官による面談については、代理人は原則として立会不可とされているようです。家裁調査官による面談は、私が関わった事案は調査官2名体制で実施されました。面談の質問事項としては、危急時遺言が作成された経緯については丁寧にヒアリングするイメージで、時間的には30分から1時間程度といったところでした。

家裁調査官による面談調査の実施が完了した後には、調査官による「調査報告書」が作成されることになります。調査報告書には、危急時遺言の確認を認めるできかどうかに関する家裁調査官の意見が記載されています。結論の部分だけではなく、立会証人の面談調査の概要も含めて結論に至る理由なども記載さています。調査報告書が作成されると、家庭裁判所の裁判所書記官から調査報告書の閲覧・謄写について案内する連絡がきますので、適宜、裁判所に赴いて調査報告書内容を確認することになります。

調査報告書の閲覧・謄写した結果、調査報告書の内容について異議がある場合などは、裁判官に考慮してほしい事情や反論内容を記載した意見書を提出することもできます。仮に、意見書等を提出するということであれば、裁判所にその旨を連絡して、意見書の提出までは裁判所の審判を待ってもらうようにお願いすることになります。

意見書が提出がなれたら、その後に裁判所によって確認審判がくだされることになります。

3 申立てから確認審判まで要する期間

私が関わった事案では、申立てから確認審判まで約3か月間を要しました。もっとも、少し込み入った事案でもあったことから、事案によってはもう少し早く審判が出ることもあると思います。

4 遺言確認の判断構造について

私が危急時遺言の確認手続に実際に関わってよく分かったことは、「余程の事情がない限り遺言の確認審判がおりる」ということです。仮に、危急時遺言の記載について一見して明白に形式要件を欠いているというような特別の事情がない限りは、遺言無効確認請求の裁判を通じて遺言の有効性を確定してくれ、というのが現時点での裁判所の運用であると考えていいでしょう。