後見制度が必要な人の3つの特徴

1 はじめに
今回は一般の方向けに後見制度が必要な人の特徴についてお話ししていこうと思います。
後見制度とは、①お金の管理と②介護サービスや入退院の対応などの身の回りのサポートを他人に任せる制度のことです。
具体的なイメージとしては、子供が高齢になった親の面倒をみるという場面を想像していただければいいのではないかと思います。

後見制度には、①成年後見制度などの法定後見制度と②任意後見制度の2種類がありますが、ざっくり説明すると、成年後見などの「法定後見」は認知症などが進んで既に誰かのサポートがないとお金の管理や身の回りのことができない状態になってから誰かに頼むときの制度ですが、「任意後見」は自分のことは自分でできるうちに将来に備えてお世話になる人を予め決めておくときの制度になります。
少し違った観点から区別すると、成年後見などの「法定後見」は既に困った状態になっているときに行う制度で、「任意後見」はまだ今は困ってないけど将来に備えておく制度ともいえるでしょう。

それでは、後見制度が必要な方の特徴というのはどのようなものになるのか、以下にお話ししていきます。

2 特徴①・・・子供がいない
まず1つめの特徴としては、子供がいない人になります。
子供がいないとは、生涯独身だった人だけでなく、結婚していたが子供いない夫婦も含まれます。また、子供はいるが、複雑な家庭の事情で子供とは絶縁状態で音信不通という方も含まれるといってよいでしょう。
このように子供がない人がどうして後見制度が必要かというと、一番頼りになるはずの子供がいないと、認知症が進んでしまったときに施設に入所することになってもお金を管理する人がいなくて困ってしまったり、体調を崩して入院することになっても入退院の手続などを対応してくれる人がいなくて困ってしまうことになるからです。
子供がいないで生活している方は、今は問題無く生活できているとしても、将来の不測の事態に備えて後見制度を活用する必要性がある人だといえます。
ただ、子供がいない人でも、姪・甥とつながりがあり、いざというときにサポートしてもらえる関係ができているのであれば、後見制度を利用しないでも困る事態を避けることができます。

3 特徴②・・・子供同士が仲が悪い
次に、2つめの特徴として、子供はいるものの、子供同士の仲が良くない人になります。
子供同士が仲が悪いケースとは、親が特定の子供にだけ支援していて支援を受けていない子供が良く思っていないケース、子供同士が親の介護やお金の管理ついて意見が分かれていてそのことも原因で仲が悪いケースなどがあります。
子供同士の仲が悪い場合に、例えば親と同居している子供に財産や介護などの身の回りのサポートを任せるということになった場合には、他の子供が親の財産を管理を任されている子供に対して不信感を持ちやすくなり、親が亡くなった後に親の財産管理をめぐって相続争いに発展することも珍しくありません。
このような場合には、後見制度を活用して中立的な第三者である専門家に財産管理を任せたり、また、後見制度という法的な後ろ盾を活用して親の財産管理を透明化するなどして、将来起こる可能性のある紛争を事前に避けることに役立ちます。

4 特徴③・・・財産の額や種類が多い
最後に、3つめの特徴として、財産の額や種類が多い人は、そうでない人に比べて後見制度を活用する必要があります。


財産の金額や種類が多ければ多いほど、自分で管理することが大変になるので、高齢になってくると他の人に管理を任せる必要が高くなってくるといえます。後見制度を利用せずに地域の「あんしんセンター」などの福祉団体による財産管理制度を活用できるケースもあるのですが、その場合には持っている資産が預貯金のみで、かつ、一定金額以下の方に限られていたりします。

例えば、預金だけでなく、人に貸している不動産を複数持っているような高齢者の場合には、賃貸物件に何か問題が起こったときに対応しなければいけないですし、認知症になった場合には誰か代わりに適切に対応してくれる人が必要になります。仮に、預貯金のみであったとしても、その金額が数百万円を超えるような大きい金額の場合には他人が気軽に預かれる金額ではないため、やはり後見人などの適切な人に管理してもらう必要が出てくるのです。


ちなみに、2つめの特徴で、子供同士の仲が悪いという特徴についてお話しましたが、それなりの財産がある人がその財産を巡って子供同士の仲が悪くなるケースが多いです。