【事例でわかる】認知症が進行中の高齢夫婦と任意後見契約を結んだケース

~これから認知症が進むかもしれない…そんなときに「任意後見契約」という選択~


目次

  1. はじめに:任意後見契約とは?
  2. 事例紹介:認知症が進行中の高齢夫婦のケース
  3. 任意後見契約の具体的な対応と流れ
  4. 費用の内訳と金銭面の配慮
  5. この事例から学べる3つのポイント
  6. まとめ:軽度認知症の今こそ備えるべき理由

1. はじめに:任意後見契約とは?

「もし自分の判断力が衰えてしまったら、誰が金銭の管理をするのだろう」
「高齢の両親が詐欺被害にあったらどうしよう」

そんな不安を抱える方に知っていただきたいのが、任意後見制度です。

任意後見契約とは、将来、認知症などで判断力が低下したときに備えて、あらかじめ信頼できる人(親族や専門家)に、財産管理や契約手続きなどを依頼する契約のことです。

今回ご紹介するのは、実際に高齢夫婦と任意後見契約を締結したケースです。
家族の支援が限られている中、専門家と連携することで、安心して将来に備えることができました。


2. 事例紹介:認知症が進行中の高齢夫婦のケース

●家族構成・生活状況

  • 夫(80代後半)・妻(80代後半):いずれも軽度の認知症で、介護認定は「要介護1」。
  • 子どもはおらず、二人暮らし。
  • 夫の姪がキーパーソンだが、仕事と家庭の事情で頻繁な支援は難しい。
  • 居住地:所有するマンションで生活。歩行は自立、健康状態は安定。
  • 経済状況:年金+数千万円の預貯金あり。経済的な不安はないが、判断力の低下が心配。

●きっかけ

夫婦ともに認知症が徐々に進行。金融機関で不要な金融商品を勧められ、契約しそうになるなど、金銭管理への不安が見え始めたことがきっかけです。


3. 任意後見契約の具体的な対応と流れ

●今すぐではなく、「必要になった時」に備える契約

このケースでは、現時点ではまだ夫婦で生活できており、支援も最小限で済んでいました。
そのため、「将来、必要になったときに効力を発揮する」任意後見契約を選択しました。

●関係者との連携の流れ

  1. ケアマネジャーとキーパーソン(姪)を交えて弁護士と面談
  2. 本人の意思確認のもと、任意後見契約を弁護士と締結
  3. 公証役場の協力のもと、自宅で公正証書を作成
  4. 現状は維持しつつ、認知症が進行した段階で後見業務を開始する予定

そして、契約から約2年後、施設入所のタイミングでキーパーソンから連絡があり、弁護士が任意後見人としての業務を開始することになりました。


4. 費用の内訳と金銭面の配慮

任意後見契約は「お金がかかるのでは?」と不安に思う方も多いですが、このケースでは以下のような費用でした。

内容金額(2人分合計)備考
出張相談(1回)無料自宅訪問対応
公正証書作成費用約10万円公証役場へ支払
弁護士費用16万5,000円契約書作成など
任意後見業務報酬月2万円/人(税別)実際に業務が開始された後

●柔軟な対応も可能

金銭的な余裕がない場合は、無料相談・報酬の減額・死亡後の後払いなど、柔軟な対応も可能な仕組みをとっています。


5. この事例から学べる3つのポイント

① 軽度の認知症でも任意後見契約は可能

「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに、判断能力が低下してしまうと、任意後見契約は結べなくなります。
**認知症の進行が軽度な段階(要支援・要介護1)**であれば、本人の意思確認も可能なため、スムーズに契約できます。

② 消費者被害や不適切な契約を未然に防げる

実際にこの夫婦は、不必要な金融商品を契約しそうになった経験があります。
任意後見契約を結ぶことで、将来、弁護士が金銭的なトラブルに迅速に対応できる体制が整います。

③ キーパーソンと専門家の連携で、家族の負担を軽減

キーパーソンである姪は仕事や家庭の都合で頻繁には関われませんでしたが、弁護士とケアマネジャーが連携することで、家族の負担を最小限にしつつ、必要な支援が可能になりました。


6. まとめ:軽度認知症の今こそ備えるべき理由

今回のケースのように、認知症が徐々に進行している高齢者が「まだ自立できているうち」に任意後見契約を結ぶことは、とても重要な備えです。

✅ 判断力がある今なら、本人の希望を反映できる
✅ 将来の金銭トラブルや施設入所にスムーズに対応できる
✅ 家族の負担を軽減し、安心できる支援体制を構築できる


◆ おわりに:こんな悩みをお持ちの方へ

  • 高齢の親の判断力が最近落ちてきた…
  • お金の管理や契約関係が心配…
  • 家族だけで支えるのが難しい…

そんな方は、任意後見契約の検討をおすすめします
専門家に相談することで、将来の安心を今から準備できます。


【無料相談受付中】

今回のように、任意後見契約の締結から実際の後見業務まで、状況に応じた支援を行っています。
まずは無料相談から、お気軽にお問い合わせください。


※このブログ記事は実際の事例を元に作成しておりますが、個人情報には十分に配慮しています。