手書きの遺言の落とし穴

今回は、一般の方向けに、「手書きの遺言の落とし穴」というテーマで記事を書いていきます。

とても簡単な言葉で説明していきますので、法律用語的に不正確かもしれませんが、一般の方に理解していただければいいなのかと考えております。

私は100人以上を余裕で超える遺言作成を検討している方の相談にのってきましたが、なぜか多くの方が「手書きの遺言」を書きたがるのです。理由を聞くと、

「手書きの方が簡単に書くことができるから」「専門家に頼むとお金がもったいない」「専門家に頼んだり、公証役場でつくるのが大変そう・面倒そう」などといった理由が多いと思います。

私も含めて多くの専門家は、「手書きの遺言はやめた方がいいですよ、書き方を間違えると、折角書いたのに遺言が無効になってしまいます」といった説明をして、公正証書で遺言をつくることを勧めると思います。もちろん、私も手書きではなく、公正証書で遺言を作ることをお勧めします。ちなみに、手書きの遺言のことを「自筆証書遺言」、公正証書でつくる遺言のことを「公正証書遺言」と専門用語でいったりします。

私が公正証書で遺言をつくることをお勧めするのは、「手書きの遺言」には大きな落とし穴があるからです。ここからが本題です。

「手書きの遺言」は作るときは簡単なのですが、遺言を書いた人が亡くなった後の手続がとても「面倒」なのです。つまり、手書きの遺言を裁判所に確認してもらう「検認」という申立てを家庭裁判所にしなければいけないルールになっています。この「検認」という手続が面倒で、裁判所に相続人を証明する戸籍を全て集めて提出しなければならないのです。戸籍を集めて相続人を証明する作業は、素人は普通はできませんので、結局は、手書きの遺言を見つけた人が専門家に相談して依頼しないといけません。しかも、その費用だけでも数十万円かかったりします。

まとめると、手書きの遺言を書くのは簡単なのですが、手書きの遺言を書いた本人が亡くなった後の手続がとても複雑で面倒になるという「落とし穴」があるのです。手書きの遺言を書きたがる人はこのような「落とし穴」があることを見落としている人がほとんどです。せっかく、自分が亡くなった後に残された人のために遺言を書くのですから、残された人が複雑で面倒な手続で困ることになる「手書きの遺言」はやめておきましょう。

ただ、重病で余命がわずかだとか、すぐに遺言を残さなければいけないような状況の人は、公正証書遺言だと少し時間がかかってしますので、手書きの遺言を作成することがむしろ適切な場合もあるでしょう。

手書きの遺言の落とし穴についてよく考えた上で、少し余裕をもって「公正証書遺言」を作成しましょう。

私は、公正証書遺言を作成するため遺言書自動作成ツール『スマウィル』を開発・監修してますので、この記事を見て公正証書遺言の作成を検討している方は是非活用してみて下さい。

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遺言書作成ツール

前書き 私は相続・高齢者問題を専門とする弁護士として、数多くの遺言作成に携わってきました。 数多くの遺言作成に携わる中で感じた課題は、「自分で」遺言を書きたい、…